VALUESTAR の水冷式

パソコン診療所

2023年11月08日 00:09

近くのハードオフで買い物ついでにジャンク品のコーナーを見ていたら、見かけ上、程度の良いマイクロタワーの VALUESTAR を発見。
棚からおろして、本体の上下左右前後とも確認してみましたが、特に目立つキズや破損、汚れ、劣化等がまったく無く、新品時の輝きも残っているような良い状態。
後方には、見慣れない「出っ張り」もあり、価格も数百円だったことから、購入してみました。
→価格から、見かけは良くても正常動作はしないだろうと予測済み。
→おろした際、パソコン内から、「カラカラ」と何から転がっているような音がしました。

パソコンは、NECのマイクロタワー型デスクトップ
VALUESTAR G タイプTX VG36VZ/M
WindowsXP Pro

ネットの情報から、メーカー製デスクトップとしては珍しく、水冷式のCPUクーラーを採用したパソコンであることが判明↓
https://ascii.jp/elem/000/000/348/348462/
当時のVALUESTARシリーズのトップエンドのシリーズなんですね。

戻って、早速、パソコン内を確認。
「カラカラ」の原因は、小さな長方体の金属物。
2か所で固定されていたようですが、取れてしまったようです。

さらに、マザーボード上の一定程度以上の大きさの電解コンデンサが、劣化でほぼ全滅状態。
ただ、どこも液漏れの跡はなかったので、とりあえず、そのままの状態で電源ON。
すると、電源が入るもののすぐに切れる、入って切れる、入って切れる、、、のくり返し。
正常動作しないことは予定通りで、電源内の電解コンデンサにも異常があるとも予想されます。

まずは、劣化コンデンサの交換が必要ですね。
電源内の確認も必要。
メンテナンスに入ります。

が、その前に、いつものお約束。
レポートでは、配線やケーブル、コネクタ類の取り外しは、特に注意が必要となるもの以外は記載していません。
作業中、適時、外すようにします。
また、作業後、数日~数ヶ月後に画像と記憶をたよりに記載しています。
間違いや、手順が前後逆だったり抜けている場合もあると思います。
あらかじめご了承ください。

パーツの取り外しから始めます。
まず、前面カバー取り外し。

本体の前面と後面を繋ぐ形の大きなライザーカードも取り外します↓

装着されているのは、地デジとキャプチャカード、BSCSチューナーカード、モデムカード。
前面側には、カードリーダーとビデオ入力の端子が付いています。
画像手前には、CPUクーラーのCPUからの熱を吸熱する部分が写っています。

さらに、ハードディスクのマウンタ、電源、水冷式のCPUクーラーを取り外し。

CPUは、Pentium4 660 3.6GHz ↓

TDPは115W
CPU左側前後の電解コンデンサの膨張が確認できます。

マザーボードも取り外して、劣化コンデンサ(ピンク丸)を全て交換↓

全部で18本。
マザーボードを取り外す際は、CPUクーラーの吸熱部分を引っかけて固定する金具も取り外します。

取り外した、劣化膨張した電解コンデンサ↓

黒の1本はニチコン。
以外は、ニッケミです。

マザーボードの取り外し等を行っていたところ、さらに脱落品を発見。
丸い穴の開いた細長い特異な形の金具(画像上)↓

下の長方体は、先に見つけていたもの。
丸い穴のすぐそばに付いていたもの想定できますね。
金具が変形した時に、分離してしまったと考えられます、、、が、
作業完了まで、パソコンのどこに使用されていたのか、分かりませんでした。。。

CPUクーラーを取り付けて、マザーボードのみで起動を確認↓

BIOS設定の表示もできたので、上々です。

取り外した電源内も確認しましたが、コンデンサ等に異常はありませんでした↓

上画像は、ほこりのクリーニング前に写しました。
ほぼ、ほこりが無い状態できれいです。

取り外したパーツ類を並べてみました↓


電源の外観にはサビもなく、かなりきれいな状態↓

風が通る箇所にはほこりが溜まりやすく、そのほこりが湿気を吸ってサビを発生させることになりますが、、、
ファンのカバー部分もまったくサビが無く、ホコリも付着していません。
パソコン内の他の部分にも、ホコリがほぼない状態でしたので、パソコンを使用していた時間は、かなり短かったと想定されますね。

使用されている水冷式のCPUクーラー一式↓

手前が放熱部分のラジエター、奥がCPUに乗っける吸熱部分。
途中にタンク。
ラジエーターにもほこり無しでした。

BIOS起動を確認したマザーボードをケースに取り付け↓


水冷式CPUクーラーを取付け↓

CPUクーラー一式は、本体後面からスライドさせるように着脱します。
チェック用電源を接続して、起動を確認、、、しようとしましたが、ONOFFを繰り返す異常事態に。

いろいろ試してみて、原因が判明。
マザーボード上のCPUクーラー用のコネクタに水冷式クーラーを接続していますが、、、
クーラーの基盤から出ている、ケースファン用のコネクタ(丸印)にファンを接続すると、正常に起動できました↓

冷却水のタンクのそばにポンプと基盤があります。
→CPUファンのコネクタにCPUファンのみを接続しても、特に問題無く起動可能(マザーボード単体でのチェック時の状態)。

20年近く前の製品なので、ポンプの動作と水漏れが気にかかりましたが、以前の異常の跡も、メンテナンス中の異常もありませんでした。

電源を取り付けて起動確認OK↓

きちんと取り付けてはいませんが、起動に必要なケースファンも接続しています(矢印)

DVIコネクタの基盤取付け↓

グラフィックカードではありません。
オンボードのグラフィックにDVI-Dのコネクタを増設するだけのカードのようです。
→VGA(アナログ)コネクタでは、HDCPのデジタル放送が表示できない。。。

上が地デジとキャプチャのカード↓

下が、BSCS用のカード↑
このパソコンでは、BCasカードを外付けのリーダーに装着して本体に接続、認識されるようになっていますが、そのリーダーが無いので、テレビは不可。
→BCasカード用のリーダーがあったとしても、カードのドライバとテレビ視聴用のソフトが無いので、やはり不可。

テレビとモデムカードを取付けたライザーカードを取付け↓


CPUの真上(パソコン使用状態では真横)のケースファンも取り付け↓

異音等の異常なく動作OK。

後で気付いたことですが、、、
ケースファンを固定する部分に、CPUクーラーの吸熱部分も掛けることができます↓

これ便利です。

追加で使用したパーツ↓

IDEの純正DVDドライブは書き込み不良のため、手持ちのマルチドライブに交換。
ハードディスクは、内蔵されていなかったので、SATAの250GBと1TBを追加。
メモリはDDR2SDRAMの1GBを2枚。

メモリの着脱は、本体底面にあるカバーを開けて行えます↓

これまた便利。

パーツを全て取付け、WindowsXPをインストール。
サービスパック3を適応。
ネットから拾ってきたドライバも適応。
ただ、どうしてもサウンドのドライバがあたらない。
→Windows7 では、アップデートでドライバが適応されます。

そこで、かわりに手持ちのサウンドカードを装着↓

Aopen製 Cobra AW850 Deluxe
モデムカードを取り外して、同じスロットに装着しています。
付属のCDからドライバをインストール、動作確認OK
→Aopenのダウンロードページからのダウンロードでは、うまくいきませんでした。
→オンボードのサウンドは、BIOS設定で無効化しています。
テレビのカードから出ている音声用のケーブルも、サウンドカードへ接続し直しています(使用されることは無いと思いますが・・・)。

全てのパーツを取り付けた状態↓

CMOS保存用のボタン電池も交換しています。

四角で囲った部分が増設したサウンド関連のコネクタ↓

すぐ左隣りが、BSCSカード。
さらに隣が、地デジとキャプチャのカード

WindowsXPのデバイスマネージャ↓

?は、地デジ、BSCS用カード。
矢印が、増設したサウンドカード

試しに、Windows7 をセットアップすると、オンボードのサウンドがWindowsアップデートで使用可能↓

また、地デジキャプチャカードもドライバが適応されます。

最後に、XPの認証を電話で取得↓


メンテナンス完了↓

メーカー製のデスクトップPCでは、レアな水冷式CPUクーラーを採用しているシリーズでした。
このころのCPUはとにかく熱かったので、静穏性との両立で必要だったのでしょう。

すでに販売済み。
ありがとうございます。

パソコン診療所
うえはら

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